航空機の技術とメカニズムの裏側 第147回 航空機のハンドリング(3)旅客機の主翼折り畳み、軍用機とどう違う?|マイナビニュース
- nakamura20152
- 2018年11月19日
- 読了時間: 3分
引用元記事:マイナビニュース
前回に述べたように、軍用機、なかんずく艦上運用を行う機体では、駐機スペースを節約するために主翼の折り畳み機構が半ば必須になっている。旅客機はそんなことはなかったが、近年はアスペクト比が大きく、翼幅が広い機体が増えてきたので、事情が変わってきた。
777Xは主翼端を折り畳む
そんな機体の1つが、本連載の第112回で言及したことがあるボーイング777の新モデル「777X」。現行の777も、長距離国際線用のモデルではレイクド・ウィングチップを取り付けている分だけ翼幅が広がっているが、777Xではさらに長くなる。
しかし、空港のスポットの間隔は変えられないし、777Xのためにスポットを作り直してください、というわけにもいかない。したがって、777Xでは翼端の折り畳み機構を取り入れることにした。
とはいっても、空母搭載機とは動機が違うから、前回に取り上げたグラマンの艦載機みたいに、「折り畳み時の幅が小さければ小さいほどよろしい」という話にはならない。要は、空港のスポットで隣の機体にぶつからない程度の幅、現行777と同程度の幅にまで縮められればよいのである。
そこで777Xでは、翼端12フィート(約3.66m)だけを折り畳むことにした。ボーイング社がYouTubeに777Xの概要説明動画をアップロードしており、そこに翼端折り畳み機構に関する説明も出てくる。
もちろん、ロングスパンになったからといって、その分だけ重くなってしまったのでは具合が悪い。そこは複合材料の活用などで対処している。
折り畳んだ状態を見るとウィングレットのようにも見えるが、無論、間違って折り畳んだまま飛び立ってしまうことがないように対策がなされているのだろう。その昔、間違って主翼を畳んだ状態のまま飛び立ってしまった艦上戦闘機があったそうだが。
ただ、777Xは「スポットで隣の機体にぶつからないようにする」という目的で翼端を折り畳むわけだから、スポットにいるうちに翼端を展開するわけにはいかない。スポットに入る時はすでに翼端を折り畳んでいなければならないし、スポットから出た後でなければ翼端を展開することはできないと思われる。
出た後で展開するほうは難しくなさそうだ。旅客機がエンジンをかけるのはプッシュバックによってスポットから出た後だから、そこでエンジン始動と併せて翼端を展開すればいい。それと比べると、折り畳むタイミングのほうが難しい。
手動操作に任せるならともかく、翼端を自動的に折り畳む、あるいは翼端を展開したままスポットに入らないようにする安全装置を実現しようとすると、何らかの方法で「これからスポットに入ります」ということを機体側が知る必要がある。
それであれば、着陸して逆噴射やスポイラーで減速するプロセスが終わり、低速でのタキシングに移る段階で翼端を畳んでしまうのが確実かもしれない。実際にはどうなるだろうか。実機が登場して初飛行の模様を撮影した動画が出回れば、わかるかもしれない。
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